性器カンジダ症はこんな病気

性器カンジダ症の特徴
病原体はカビの仲間
女性では酒粕状のおりものが出る
男性では痒みやカスが出る
主に性感染ではなく自己感染
抗真菌薬で治療できる

性器カンジダ症は、性交または免疫力の低下による日和見感染によっておきる真菌性の感染症です。主に女性におこりやすく、女性の75%は生涯のうちに少なくとも1回は発症するとされています。抗真菌薬で治療することで、85~95%の症例では治癒に至りますが、再発もしばしば見られます。

主な症状は陰部のかゆみや酒粕状のおりもの

カンジダは主に女性に多く見られる疾患であり、おりものの異変などの自覚症状から発症に気付く人が多いようです。 おりものの量が多かったり、ヨーグルト状の半固形のおりものが見られたりした場合には、カンジダの発症が疑われます。
症状の中でも特に辛いのが、陰部の痒みです。酷い場合だと夜眠れないほどのか痒みに悩まされることもあります。

女性と比べると少数ではありますが、男性でもカンジダ症に罹患することがあります。男性の性器カンジダの症状は、亀頭の乾燥や恥垢の増加、痒み、違和感などです。まれに尿道炎をおこすこともあります。男性の性器カンジダ症患者の多くは、包茎や糖尿病、ステロイド剤投与例、消耗性疾患例など、何らかの誘因を持っています。

性器カンジダ症では、治療を行って治癒したとしても患者の7~34%ほどでは菌が再び出現して一部では再発がおこります。再発の原因には「再感染」と「菌の残存」の2つのパターンが考えられます。自己感染または性交による感染で再感染して再び発症に至るパターンと、検査でも検出されないごく少量の菌が膣内に残存していたパターンです。再発を繰り返す例には、再発誘因の除去や治療薬の変更、腸管内のカンジダ菌の除去などの対応が必要です。

原因は自己感染もしくは性感染

性器カンジダ症の原因は、カンジダ属の真菌(カビの仲間)の繁殖です。主にカンジダ・アルビカンス、時にカンジダ・グラブラータが病原体となります。これらのカンジダ菌は、日頃から消化管内に住んでいる常在菌です。女性の場合、直腸から肛門、会陰を通ってしばしば膣内への感染が起こります。

性的に成熟している女性(非妊婦)のおよそ15%が、膣内にカンジダ菌を保有しているとされています。ただし、膣内にカンジダ菌が感染しているといっても、実際に性器カンジダ症を発症するのはその中の37%程度です。よって、検査で膣内からカンジダ菌が検出されたとしても、臨床症状が出ていなければカンジダ症とは断定できません。

主な原因は免疫力の低下です。

性器カンジダ症と他の性感染症で大きく異なる点は、性的接触がなくても発症するところです。むしろ性交感染によっておきるカンジダ症は全体の5%程度であり、ほとんどの症例が、自身の免疫力の低下による内因性の日和見感染によって発症に至っています。免疫力の低下を招いて、膣カンジダ症の発症リスクを高める誘因としては以下が挙げられます。

  • 抗菌薬の内服
  • 妊娠
  • 糖尿病
  • 経口避妊薬の内服
  • 消耗性疾患(インフルエンザなど)
  • 化学療法(抗がん剤治療など)
  • 免疫抑制剤の投与
  • 放射線療法
  • 下着による蒸れ
  • 陰部の過度な洗浄

中でも発症例が多いのが「抗菌薬の内服」による、膣内の常在細菌叢の乱れです。膣内環境を保っていた好中球やCD4リンパ球などの善玉菌を、抗菌薬が死滅させてしまうことで、膣内の細菌のバランスが崩れてカンジダ菌が異常繁殖してしまいます。このような菌交代症と呼ばれる現象は、より幅広い種類の細菌に対する抗菌力を有する広域抗菌薬で特に起こりやすくなります。

その他にも、糖による陰部への刺激が引き金となる「糖尿病」や、カンジダ菌の生育しやすい膣環境が整う「妊娠」なども、カンジダ症の主なリスクファクターとなります。

治療にはアゾール系の抗真菌薬が有効

性器カンジダ症の治療に用いられるのは抗真菌薬です。カンジダ菌の増殖を抑えて、不快な症状を鎮めます。抗真菌薬には、膣錠と塗り薬、飲み薬の3形態があります。
女性の膣カンジダに対して最も一般的に使用されているのが膣錠であり、外用薬は外陰部の痒み皮膚炎を抑えるための補助や、男性の性器カンジダの治療で使われています。利便性に優れているのは内服薬であり、日本では比較的新しい治療法となります。

性器カンジダ症に有効なのはアゾール系の抗真菌薬です。アゾール系抗真菌薬としては、膣錠や塗り薬に配合されているクロトリマゾールやミコナゾールが挙げられます。いずれも性器カンジダ症の治療で第一選択されることの多い抗真菌薬です。
飲み薬に配合されているのは、フルコナゾールです。フルコナゾールは単回投与による膣カンジダ症の治療効果が認められています。

発症の予防には陰部の乾燥が大切

性器カンジダ症の予防には、陰部の乾燥と清潔を作らないことが大切です。特に下着の中は蒸れやすく、カンジダ菌の繁殖に最適である高温多湿な環境となります。カンジダの繁殖を防ぐためにも、下着を通気性の良いものに変えて蒸れを防ぐことが肝要です。通気性の良い素材としてはコットンやシルクが挙げられます。締め付けのキツイ小さめの下着よりも、ゆったりとしたものを選んだ方が蒸れにくくなります。

陰部を清潔にしようとするあまり、性器をゴシゴシ洗い過ぎる事は逆効果です。膣内には有害な菌を殺菌する働きのある乳酸菌などの善玉菌が住んでいます。洗いすぎると、それら善玉菌まで流されてしまい、早く治すどころか悪化してしまいます。性器を洗う際には、石鹸を使わずに水だけですすぐようにしましょう。

カンジダを早く治すためには健康な生活が欠かせません。カンジダの症状は局所的に現れるものなので、部分的に治療しようと考えがちですが、もともとカンジダは身体全体の免疫力の低下によって招かれる病気です。食生活を改善や睡眠時間を確保はもちろんのこと、ストレスを貯めない生活も心がけましょう。