性器ヘルペスの原因|感染経路とヘルペスウイルスの特性

主な感染経路はあらゆる性行為

性器ヘルペスの感染経路

性器ヘルペスは単純へルペスウイルスへの感染によって引き起こされます。
その主な感染経路となるのが、性行為による粘膜への接触感染です。膣性交のみならず、以下に含まれるあらゆる性行為が性器ヘルペスの感染経路となります。

  • セックス
  • オーラルセックス
  • アナルセックス
  • 手淫

これらの性行為によって、ウイルスが粘膜に接触する事でヘルペス感染が起こります。特に性交のパートナーの性器周辺にブツブツや水ぶくれといった病変が現れている場合は要注意です。

病変部にはウイルスが大量に存在しているため、一度の性行為でも高い確率で感染します。病変部は性器を中心に肛門、臀部、太ももなど広範囲にわたって見られますので、コンドームを装着したとしても十分な予防にはなりません。また、粘膜同士の直接的な接触以外でも、ウイルスの付着した手で手淫などを行い、間接的に性器などの粘膜に触れることでも感染は生じます。

日常生活の中にある感染経路とは?

ヘルペスの感染経路は必ずしも性行為だけではなく、日常生活の中にも存在します。日常の中にある感染経路としては、以下が挙げられます。

  • 公衆トイレの便座
  • 大衆浴場のイス
  • 使いまわしのタオル

間接的であれ、性器が直接触れる機会のある場所は感染経路になり得ます。自分もしくは家族や恋人が性器ヘルペスを発症している場合、タオルなど体に触れる日用品の共有は避けましょう。男性の場合は、洋式トイレを使用する際に、陰茎の先端が便座に接触しないように注意が必要です。

病原体であるヘルペスウイルスについて

ヘルペスウイルス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型および2型によって引き起こされます。双方とも非常に感染力の強いウイルスであり、感染者の皮膚表面に起きた水ぶくれの中や、性器・口腔内の粘膜の中でも増殖を繰り返します。
厄介なのは、性器ヘルペスの症状が出ていない時でも、感染力を有しているという点です。いくら症状が出ていないときであろうと、性行為に及ぶ際には必ずコンドームを着用しましょう。

ヘルペスウイルスには二つのタイプが存在します。

単純ヘルペスウイルスには、以下のタイプが存在します。

  • 単純ヘルぺスウイルス1型(HSV-1)
  • 単純ヘルぺスウイルス2型(HSV-2)

非常に身近なウイルスであり、実際にHSV-1型には70~80%、HSV-2型には2~10%の日本人が感染しているとされています。

HSV-1型は主に口唇ヘルペス、HSV-2型は主に性器ヘルペスの原因ウイルスとして知られています。1型は上半身、2型は下半身の神経細胞の中に比較的多く潜伏する特性があるためです。よって、1型が活性化した際には口唇や顔、2型が活性化した際には性器やおしりに症状が好発します。

とはいえ、近年では「1型は口唇/2型は性器」と明確に分けられなくなってきました。口を使ったオーラルセックスが一般的になったことで、今までは見られなかった性器からHSV-1型が検出されるようになっているのです。

日本皮膚科学会の資料によれば、急性型性器ヘルペス患者100例のうち、HSV-1型が検出されたのは67例、HSV-2型が検出されたのは33例でした。初めてヘルペスウイルスに感染して性器ヘルペスを発症した場合、HSV-2型よりもHSV-1型による発症が多かったのです。

再発型性器ヘルペス患者319例のうち、HSV-1型が検出されたのは17例、HSV-2型が検出されたのは266例でした。性器ヘルペスが再発したときは、8割がたHSV-2型が原因です。

感染直後には何もおこらないことがほとんどです。

ヘルペスウイルスに感染したらといって、必ずしも性器ヘルペスの発症に至るわけではありません。
性器ヘルペスの場合、感染したときは何も起こらずに、ウイルスが不顕性感染(ふけんせいかんせん)する事がほとんどです。不顕性感染とは、何も症状を起こさずに感染する感染パターンの事です。

ヘルペスウイルスの多くは、不顕性感染によって、感染後に潜伏感染に移ります。潜伏感染とは、感染はしているが、何の症状も示さずに体内に長期間潜伏し続けている状態の事です。潜伏感染をしているウイルスは、免疫力の低下などによって再活性化して性器ヘルペスの発症に至ります。

ヘルペスウイルスは、一度でも感染したら一生完治する事のない病気であり、生涯に渡って、潜伏と再活性化を繰り返し続けます。

因みにすべてが不顕性感染をするわけではなく、感染後すぐに症状の現れる『急性型性器ヘルペス』が起きるケースもあります。
急性型性器ヘルペスの場合、2~10日ほどの潜伏期間を経て発症します。

無自覚の感染者が感染を拡大させています。

ヘルペスの厄介な所は、感染者にヘルペスの症状が現れていなくても、感染力を有しているという点です。ヘルペス感染者は、たとえ何も症状がなくても、粘膜や体液からウイルスを排泄している事があるのです。この排泄されたウイルスも十分な感染力を有しており、性行為によって粘膜が触れる事でヘルペス感染が起きてしまいます。

実際にヘルペス感染の70%が、無症状のウイルス排泄時に行った性行為によって起きているのです。無症状時のウイルスの排泄は、以前にヘルペスを発症してから1年以内の感染者の場合に特に多く見られるとされています。

性交時には、必ずコンドームなどを装着し、粘膜が直接触れ合う事になるオーラルセックスは避けましょう。また、感染源となった人の中には「自分はヘルペスに感染している」という事に対して"非認識の感染者"が存在します。この非認識の感染者が、無防備に性行為を繰り返してしまう事が、ヘルペスの感染を拡大させている一因でもあるのです。

女性の方が感染しやすい傾向があります。

性器ヘルペスの感染者数は、男性と比べて女性の方が多いとされています。実際に厚生労働省で発表されている、平成28年度の性器ヘルペス感染者数を見比べると、男性感染者数3,619人に対し、女性感染者数は5,555人でした。

また、アメリカで行われたヘルペスの感染リスクを調査するための臨床試験からも興味深い結果が得られました。男女どちらかがヘルペスに感染しているカップル144人組を対象として、観察が行われたのです。結果的に性器ヘルペスが男性から女性へ感染する確率は16.9%なのに対し、女性から男性に感染する確率が3.8%でした。つまり、一度の性行為で感染する確率は、女性から男性よりも、男性から女性の方が4倍以上高いという事がわかったのです。

感染に心当たりがない場合

ヘルペスの感染経路に心当たりない

性器ヘルペスの主な感染経路は性行為です。ですが、感染者が使ったタオルやお風呂のイスからも、ヘルペスウイルスが感染する場合があります。

また、性器ヘルペスの多くは再発型であり、今まで何の症状も無かったのに、疲れやストレスなどが引き金となり、突然発症する事もあるのです。

感染経路に心当たりが無い場合は、性行為以外の感染経路による感染か、既に感染していたウイルスの再活性化を疑いましょう。