性器ヘルペスの症状|初発と再発で違う女性に多い排尿痛や頭痛

性器ヘルペスの症状は陰部周辺の違和感から始まる

性器ヘルペスの症状は、陰部周辺の違和感から始まり、水ぶくれや潰瘍(ただれ)などの病変へと発展していきます。

病変が現れる部位は、男性であれば亀頭、冠状溝、包皮などの外陰部です。女性の場合は、大陰唇や小陰唇から、腟前庭部、会陰部などの外陰部に加え、子宮頸管や膀胱にまで及びます。さらに男女で共通して、肛門や臀部、太もも周辺に病変が拡がることもあります。

性器ヘルペスの症状は、弱い初期症状からはじまり、強い全身症状へと悪化します。
初期症状として感じるのは、かゆみやヒリヒリ感、灼熱感、痛みなどによる性器周辺の違和感です。その後、赤いブツブツや水ぶくれ、潰瘍を形成し、場合によっては発熱や倦怠感などの全身性の症状を伴います。

初めて性器ヘルペスになった場合の症状

初めて性器ヘルペスを発症した場合の症状は、初感染による「初感染初発」と、以前に感染してはいるものの病変が起こるのは初となる「非初感染初発」で異なります。
ほとんどの場合において、初感染初発時の症状が最も重く、非初感染初発時には軽い症状で済みます。

初感染初発では高熱などの全身症状を伴います。

性器ヘルペスの発症形態において、最も重い症状が、初感染初発の場合です。急激に症状が現れる事から、「急性型」とも呼ばれています。ウイルスに感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は、2~10日ほどです。発熱や倦怠感などの全身症状を伴うのが特徴であり、38度以上の高熱になる事もあります。

発症初期には、性器に不快感や痒みを感じます。その後に赤いブツブツや水ぶくれが出現し、それらが潰れてただれたような浅い潰瘍になります。水ぶくれは、直径1~2mm程度であり、発症してから3~5日ほどで、円形の潰瘍を形成します。

これらの病変は、性器からお尻、太ももにいたるまで、広範囲に渡って多数見られます(一か所に集まって現れる事もあります)。病変からは、ヒリヒリ感やムズ痒さ、灼熱感、痛みなどを強く感じるため、患者はかなりの苦痛を強いられる事になるのです。

また、上記以外でも、足の付け根にある鼠経(そけい)リンパ節の腫れや痛みといった症状が多く見られます。
これら初感染初発時の症状は、治療を受けなかったとしても、2~4週間で自然治癒するとされています。

非初感染初発では比較的軽い症状になります。

非初感染初発の場合、症状は軽いことが多く、治癒までの期間も短いとされています。
感染後にすぐには発症せず、潜伏感染していたヘルペスウイルスが再活性することで、初めて発症に至るのが、非初感染初発です。患者の多くは、既に感染されていた事に気付いていません。
初感染初発が『急性型』であるのに対し、非初感染初発は『誘発型』とも呼ばれています。

基本的な症状は、前述した初感染初発の場合と同じです。ただし、病変の出現量は少なく、鼠径リンパ節の腫れが起きる事も稀であるとされています。発熱などの全身性の症状が見られる事も少なく、患部の痛みも軽いため、全体的に軽症で済みます。

性器ヘルペスを再発した場合の症状

再発時の性器ヘルペスでは、初めて感染して発症する場合(初感染初発)と比べて症状が軽く、患部の痛みも強くありません。

再発時に病変が現れる部位は、初発時とほぼ同じです。ただし、病変が起きる範囲は狭い事が多く、性器やお尻、太もも周辺に、小さい水ぶくれや潰瘍が数か所できる程度になります。
発熱などの全身性の症状が現れる事も稀であり、鼠経リンパ節の腫れが見られる事も少ないでしょう。

ほとんどの場合で1週間以内に自然治癒するとされており、短い期間で症状は治まります。ただし、免疫不全患者の場合は、症状が重く、治りにくくなるとされています。
再発時に症状が軽くなるのは、一度感染された事により、免疫が機能が働くためです。
HIVや白血病などによって引き起こされる免疫不全の状態では、免疫機能が正常に機能しないため症状が重くなります。深い潰瘍が見られ、再発の頻度も多くなります。

再発が起きる前には、前兆的な症状が見られる事があります。前兆症状としては、外陰部の違和感や、太ももから脚部にかけてのズキズキとした神経痛などが挙げられます。

女性の方が症状が重くなりがち

性器ヘルペスを発症した場合、男性よりも女性の方が重症化しやすく、強い痛みや神経障害に苦しむ事があります。場合によっては、入院が必要になる事もある程です。

また、発熱や倦怠感などの全身性の症状も女性の方が現れやすいとされており、1985年~1987年に観測されたデータからは、初感染初発時に全身の倦怠感の症状を訴えた患者が男性22.2%なのに対し、女性47.8%と倍以上の差が見られました。

強い頭痛や排尿困難などの神経症状がでやすくなります。

女性は、髄膜(ずいまく)刺激症状や末梢神経麻痺など、神経症状の併発が見られます。極端に頭痛が強かったり、排尿しにくいと感じる事があれば、これらの神経症状を併発している可能性があります。

髄膜刺激症状
脳やせき髄を保護している髄膜が刺激される事によって、感じる症状です。強い頭痛や項部硬直(仰向けの状態から顎を引いて胸につけようとしても首が硬くて痛みがあり、つけられない状態)、羞明感(まぶしさを過剰に感じる状態)などが見られます。
末梢神経麻痺
排尿困難や排便困難などが見られます。悪化すると神経因性膀胱(尿意を感じない状態)に至り、カテーテルが必要になることもあります。

また、性器ヘルペスによって神経症状が起きることは、男性は非常に少ないとされています。

酷い排尿痛が見られることがあります。

男性と比較して、女性の方が性器ヘルペス発症時に感じる疼痛(ずきずきとうずくような痛み)が強い傾向にあります。 多くの女性患者を苦しめているのが、排尿痛の症状です。女性が排尿痛を感じやすいのには、神経障害から来るものの他に、外陰部の潰瘍に尿が触れて沁みてしまうことが関係していると考えられます。

実際に激しい排尿痛で苦しんでいる女性ヘルペス患者は多く、痛みが怖くて排尿を我慢しているという方も多いです。

初感染初発時においては、何もしてなくても患部に強い痛みを感じるため、ときに歩行困難になる場合もあります。以上の事から、女性ヘルペス患者には入院を余儀なくされる方も大勢います。

性器ヘルペスは症状の現れ方が多彩です。

性器ヘルペスの症状の現れ方は様々であり、一見しただけではヘルペスの発症に気付かな事もあります。

気を付けたいのが、見落としやすい病変です。ピンホール程度のごく小さい潰瘍や、目視できない子宮頚部にのみ病変が現れる事があります。
病変部には多くのウイルスが存在するため、気付かずに性行為をしてしまう事で、高い確率で性行為のパートナーに感染させてしまうのです。 また、外陰部には異常が無いのに、肛門や臀部にのみ水ぶくれや潰瘍などの病変が現れることもありますので注意しましょう。

最も分かりにくいのが、水ぶくれや潰瘍など、特徴的な病変が現れないケースです。皮膚表面には何の異変もないのに、排尿障害や神経痛などの”神経障害だけ”が現れるという事もあるのです。このような多彩な臨床症状が、ときに性器ヘルペスの診断を困難にしています。

似た症状を持つ性病

性器ヘルペスの初期症状と似た症状を持つ病気に注意しましょう。
性器ヘルペスは、発症初期に抗ウイルス薬を服用することで、症状を最小限に抑えられます。しかし、できるだけ早いタイミングで薬を服用しようとして、発症初期にヘルペスだと自己判断するのは危険です。

性器ヘルペスと間違えやすい病気に、尖圭コンジローマやカンジダがあります。陰部のかゆみや小さいブツブツなど、ヘルペスの初期症状と似た症状があらわれるからです。

尖圭コンジローマ
性器にイボを形成する性病の一つです。イボは徐々に肥大化していきますが、発症初期では小さくブツブツしており、ヘルペスの初期症状に見られる病変と似ています。 ヘルペスと違う点としては、コンジローマには病変部にかゆみや痛みなどの自覚症状が見られないという事が挙げられます。(大きさや発症部位によっては、痛み・かゆみがでることもあります)また、コンジローマのイボは、先が尖っていて固いという特徴があります。
性器カンジダ症
性器カンジダ症は女性に多く見られる疾患です。外陰や腟に見られるかゆみや痛み、軽度の発赤などの症状がヘルペスの初期症状とよく似ています。カンジダの場合は、おりものに異常が出やすいという特徴があります。白色で酒粕状、粥状、ヨーグルト状のおりものが見られた場合には、カンジダである可能性が高いでしょう。