トリコモナス症はこんな病気

トリコモナス症の特徴
女性に発症しやすい
泡状のおりものがでる
膣内から魚が腐った臭い
病原体はトリコモナス原虫
潜伏期間は10日前後

トリコモナス症は、膣トリコモナス原虫に感染する事で発症する性病(性感染症)のひとつです。トリコモナス原虫が、膣内の健康を保つ働きをしている常在菌を弱らせてしまう事で、様々な異常が引き起こされます。女性に多く見られる性病であり、男性では無症状な場合がほとんどです。潜伏期間は10日前後です。

主な症状は悪臭を伴った泡状のおりもの

トリコモナス症では、感染機会から10日前後の潜伏期間を経て何らかの症状が現れます。女性では比較的強い症状が見られますが、男性では無症状であるとがほとんどです。女性に見られるトリコモナス症の症状としては、以下が挙げられます。

  • 悪臭の強いおりもの
  • 黄緑色で泡状のおりもの
  • 外陰部の痒み・痛み
  • 排尿痛
  • 性交痛

これらの症状が出始める10日ほど前に感染経路に心当たりがある場合には、トリコモナス症である可能性が高いといえます。とはいえ、症状の中でも特徴的である悪臭を伴った泡状のおりものなどが現れるのは女性罹患者の半数程度です。ちょっとした陰部の痒みや違和感ぐらいの症状しかでないこともあります。
似た症状を持つ性病として、膣カンジダや細菌性膣症などもありますので自己判断だけでなく医師の診断を仰ぐことが大切です。

原因は性行為による原虫への感染

トリコモナス症には、他の性病と比較して感染者の年齢層が幅広いという特徴があります。他の性病ではあまり感染が見られないような幼児や中高年者からでも、トリコモナス感染が報告されています。トリコモナス症の年齢層の広さには、性交以外の日常的な感染経路が関わっています。

トリコモナスの主な感染経路は性交ですが、トイレやお風呂、湿ったタオルなどから感染がおきることもあります。生命力の高いトリコモナス原虫は、水分のある場所では長時間の生存が可能であるためです。同居人に感染させないためにも、日常生活の中にある感染経路を把握しておくことが大切です。

治療に使われるのは抗原虫薬

トリコモナス症の治療で使われるのは、抗原虫薬という種類の薬です。抗原虫薬には、病原体のDNAを攻撃する作用により、膣トリコモナス原虫の増殖を阻害する働きがあります。抗原虫薬を使用することで、90~95%以上の確率でトリコモナス症を完治させることが可能です。

トリコモナス症の治療で使用される抗原虫薬としては、メトロニダゾール(商品名:フラジール内服錠)が一般的です。1日2回、10日間の継続的な服用で、トリコモナス症を治すことができます。1961年から販売が開始されている実績の高い薬です。

また、その後に発売されたチニダゾール(商品名:チニダゾール錠)では、単回投与によるトリコモナス治療が認められています。高用量のチニダゾールを一度に服用することで、トリコモナス原虫を一気に死滅させる治療法です。服用回数がたったの1回で済むことから、患者にとって扱いやすい薬となっています。

トリコモナスの検査は医療機関でのみ受けられます。他の性病のように保健所で検査を行っていることはほとんどありません。検査結果が陽性であった場合、内服薬を用いた治療を行います。治療期間は薬剤によって異なります。費用につきましても、保険診療と自由診療では大きな差があります。保険診療では2,500円程度で済むかと思われますが、自由診療では医療機関のHPなどで価格を確認しておきましょう。

再発がおこりやすい性感染症

トリコモナス症は治療を行い完治したと思っても、その後すぐに再発が起きる事も少なくありません。トリコモナス症の再発が起きる原因には、以下の3点が考えられます。

  • トリコモナス原虫の残存
  • 隣接臓器からの自己感染
  • パートナからの再感染

トリコモナス原虫の残存。

治療後に僅かに残存したトリコモナス原虫が、月経血中の中で増殖することで再発します。女性の場合は、次の月経後に再びトリコモナス原虫の消失を確認することが勧められます。

また、トリコモナス症の治療で用いられるメトロニダゾールに対する原虫の薬剤耐性が報告されています。薬剤耐性とは、病原体が薬に対して抵抗力を持つ現象のことです。トリコモナス症ではあまり問題視されていませんが、もし原虫が薬剤耐性を獲得していた場合には別の薬への切り替えが必要になります。

隣接臓器からの自己感染。

トリコモナス原虫は、膣だけでなく子宮頸管やバルトリン腺,腟前庭,尿路などにも感染します。膣内の病原体さえ取り除けば、一度は症状は治まります。しかし、別の部位に潜伏していた原虫が膣に再出現することで、トリコモナス症は再発します。
特に膣錠タイプの薬で局所治療のみを行った場合に起こりやすい再発です。近年のトリコモナス治療では、全身に薬効が届く内服薬を使った治療が主流となりましたので、治療後の自己感染は起こりにくくなりました。

パートナからの再感染。

トリコモナスは感染力が高いため、一方が感染している場合、そのパートナーも高確率で感染していることが考えられます。一方だけが治療を受けてトリコモナスを完治させたとしても、パートナーの中に居る菌に再び感染してしまう可能性があるのです。このような相互的な感染の事を指して「ピンポン感染」といいます。

特に男性ではトリコモナスに感染しても症状が出にくいことから、検査を受けない限り感染していることに気付かない場合があります。ピンポン感染を防ぐためにも、性的なパートナーがいる場合では必ず同時治療を行いましょう。